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レベラー(矯正)& シャーリングの匠
鉄は生き物、 変化は見逃さない
鉄は生き物、
変化は見逃さない

水谷 靖司
現場サブリーダー

安全や品質の維持を第一に

鋼板を平坦な材料に仕上げ、注文通りの寸法に切断する最終工程を担っています。お客様から求められるのは、数ミリ単位の正確性。最終工程でミスがあれば、それまでの工程が水の泡になってしまいます。品質、納期を厳守しながら、品質管理を徹底しています。

また、いち職人であり、製造計画を立てるチームの旗振り役も任されています。1週間ごとに計画表を立て、進捗を管理。遅延があった場合はどこでリカバリーできるのか、チームで連携しながら、最終納期に間に合う対策を考えます。遅延は誰にでも起こるもの。責めるような声掛けではなく「ここまでは順調だから大丈夫」などポジティブな言葉を選びながら、安全や品質の維持を第一に進めます。スピードの維持と安全性の確保の両立は難しく、日々、試行錯誤が続いています。

100分の1単位の感覚

天満製鈑に入社したのは2016年。それまではメーカーの工場でギア製造を担当し、測定器を扱っていました。実務経験があったので今の業務に慣れるのは早かったけれど、技術に関する暗黙知を身につけるのには5年かかりました。レベラー機や、ロールとロールの隙間の調整、機械を通した資材の変化で仕上がりの状態を見極め、100分の1(0.01センチ)単位で感覚をつかめるようになったのは最近です。先輩たちのスキルを見て学び、休憩時間には雑談からヒントを得て、質問できるタイミングを見つけては話しかけ、できる限り教わる機会を増やしました。

今は後輩を育てる側にいるので、こちらからも積極的にコミュニケーションをとり、相手が質問しやすい雰囲気づくりを心がけています。従来の職人の世界では、「言わなくてもわかるだろう」と、教えを言語化しない風潮がありました。でも、それでは育成に時間がかかります。私が育てたいのは、融通の利く人材。次の業務で何が必要か、先読みして行動し、無駄な空き時間を作らずに動ける人を増やしていきたい。自分がお手本にならなくては説得力がないので、毎日いい緊張感をもって仕事に向かっています。

鉄は生き物

鉄は生き物のように、気候の変化に応じて表情を変えます。湿度の高い梅雨は錆が出ますし、冬には、レベラーを通すと割れやすくなる資材もある。その時々の気温から、錆防止のオイルの量を加減したり、割れやすさを想定した加工作業をスケジュールに組み込んだりと、微妙な調整が欠かせません。

自分の仕事は、鋼材を作る全工程の点の一つです。でも各工程を線でつなぎ、次の工程にバトンタッチするには、小さな見落としもあってはいけません。職人気質でついスピードを重視しがちですが、「板の上にゴミがのっていないか」「作業中の扱い傷が入っていないか」、一歩呼吸を置いて注意を払っています。

神戸工場の新設で環境の変化はありますが、プロとして、今までと同じ高品質やスピードを維持したい。先輩たちが作り上げてきた、営業との強い連携力、多様な材質や加工に小ロットで対応できる柔軟性など、歴史や実績を次の世代にも受け継いでいきたいです。

水谷 靖司Yasuji Mizutani
レベラー(矯正)& シャーリングの匠 / 現場サブリーダー